金融緩和政策効果ではなく他の力によるインフレ

「株価が上がった」それが私たちの「お財布」にどう響いたのか、一番気になるところです。 アベノミクス(異次元緩和を含む経済政策)の間、企業の利益は過去最高を記録し続けました。円安で輸出企業の業績が良くなったからです。 本来のシナリオはこうでした

1. 金融緩和で円安・株高になる。2. 企業が儲かる。3. その利益が賃金アップや設備投資に回る。 4. みんなが物を買うようになり、景気が良くなる。 これを「トリクルダウン(滴り落ちる)」効果と呼びます。しかし、現実は少し違いました。「内部留保(貯金)」は激増しましたが、「賃金」は横ばいや微増にとどまりました。特に物価変動を考慮した「実質賃金」はマイナスになることも多かったです。 過去最高益を出しているのに、社員の給料を大幅に上げる事をしなかった。 日本の企業の多くは、過去のバブル崩壊やリーマンショックの経験から、「いつまた景気が悪くなるかわからない」という不安を強く持っていました。 そのため、せっかく儲けた利益を、一度上げると下げるのが難しい「賃金(基本給)」に回すのではなく、会社の貯金である「内部留保」として積み上げる道を選びました。

結果として、以下のような状況になりました

1. 企業、安心感は増したが、おカネが会社の中に留まったまま。2. 家計、給料が増えないので、財布の紐が固いまま。3. 物価、モノが売れないので、目標の「2%」になかなか届かなかった。 だが、今はインフレ傾向になっている、これまでの「異次元緩和」の話では、「お金を増やしてもなかなか物価が上がらなかった」という内容でしたが、最近は一気に状況が変わりました。現在のインフレ(物価上昇)には、大きく分けて2つのエンジンが関係しています。1. 海外からの「押し上げ」 (コストプッシュ型) これが最初のきっかけです。自分の意志とは関係なく、周りの環のせいで物価が上がってしまう現象です。・エネルギー・原材料高騰: ロシア・ウクライナ情勢などの影響で、石油や天然ガス、小麦などの価格が世界的に上がりました。・円安の影響、円安になると海外からモノを買う時の値段が上がります。日本はエネルギーや食べ物の多くを輸入に頼っているため、ダイレクトに響きました。 2. 国内での「循環」 (ディマンドプル型・賃金連動型) 「経済の好循環」(または、行き過ぎた場合の「賃金と物価のスパイラル」)と呼ばれる現象の核心部分です。 最近注目されているのはこちらです。「景気が良くなって、みんなが欲しがるから上がる」という、日銀が本来狙っていた形に少しずつ近づいています。人手不足による賃上げ、働き手が足りないため、企業は給料を上げて人を集めなければなりません。価格転嫁 「原材料も高いし、給料も上げなきゃいけないから、商品の値段を上げよう」と企業が判断し始めました。これがサービスの価格(外食や宿泊など)にも広がっています。今のインフレの特徴は、これまでの日本は「モノが安ければ安いほど良い」という雰囲気(デフレマインド)でしたが、今は、「コストが上がるなら値上げも仕方ない」「値上げするから給料も上げよう」という新しい動きに変わろうとしている過渡期にあります。 ここで気になるのは、このインフレが**「良いもの」か「悪いもの」かという点です。結局、物価の上がりに給料が追いついていないから悪いインフレです。